上城戸から南へ浄教寺村(現福井市浄教寺町)に入り、さらに一乗谷川の上流に入ると、落差12.5mの滝がある。これが一乗滝で、うっそうとした感じの渓谷は夏でも水しぶきが飛び、ひんやりとした空気に包まれ
ている。戦国時代朝倉義景をはじめ歴代の朝倉当主も涼を求め、この滝にやってきており、足利義昭も
一乗谷在住時訪れたとされている。
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注 積雪期は車での進入はできません |
この滝をめぐる伝承としては、まず、「越の大徳」泰澄大師が修行して開いた滝と言われていることに加え、佐々木小次郎が剣の修行を積み、秘剣《
燕返し》を編みだした場所とも言われている。
福井市の「歴史の見える協会」ではこの伝承を基に、佐々木小次郎像を滝に建立している。
2003年のNHK大河ドラマ『武蔵
MUSASHI』のロケも、2002年9月2〜4日にかけて福井市およびその周辺で行われたが、佐々木小次郎役の松岡昌宏君(TOKIO)、小次郎の恋人役で宮沢りえさんらが参加し、一乗谷朝倉氏遺跡の復原町並や三国町の東尋坊とならんで一乗滝もロケ地となった。
小次郎の出生地については諸説あるが、「二天記」には「岩流小次郎という剣客あり、越前宇坂の庄、浄教寺の産なり」と記され、また、小次郎は越前で朝倉家に仕えた中条流の富田家(勢源)の門弟とされている。
もちろん伝承の域をでていない。
ただ、歴史好きの方なら、ピンとくると思われるが、一乗滝(浄教寺)を「越前宇坂の庄」として呼称するのは中世で、江戸初期までしか使用されておらず、「二天記」の書かれた時代にはもう廃れている。宝暦年間に越前から遠く離れた地で書かれた「二天記」に
浄教寺村が「宇坂の庄」として登場するとすれば、やはり何らかの根拠や言い伝えがあったと見ること
も可能であろう。
そんな細かい話はともかく、歴史ロマンに浸りながら、滝を鑑賞するのも悪くはない。
また
一乗滝から少し下流に「一乗滝小次郎の里ファミリーパーク」があり、家族・グループで、手軽にバーベキューやキャンピングなどアウトドアが楽しめる施設がある。
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